ぽくぽく日記

毎日のくらしをぽくぽくとさんぽするように味わいたい。

手すりのプロ 中編

今週のお題「冬のスポーツ」

 こんばんは。
「ぽくぽく日記」を読んでくださって、ほんとうにありがとうございます。

「ぽくぽく日記」のもととなっているのは、家族(主に母と妹)に公開していた日記です。
 毎日のたのしかったことやおもしろかったことを母と妹に読んでもらえるのがうれしくて、それが日記の原動力でした。
 今は、ブログにすることで、家族以外のみなさまにも読んでいただいております。とてもうれしくて、夢みたいにありがたいことです。深く感謝いたします。

 

 さて、きのうのつづきです。
 生まれたての小鹿よりもはるかに足元がおぼつかない手すりのプロ(わたし)は、無事スケート教室をおえることができるのか? そして写真撮影はできるのか?

「その場であしぶみしてみましょう!」
「ひざをすこし曲げて、両手をまっすぐ前に出して、トントントン(あしぶみ)スー(あしをそろえる)で前に進んでみましょう!」
 インストラクターのお姉さんが連発する難題に息切れするわたし。子どもたちは、持ち前の吸収力と転ぶのをおそれないわんぱくさで、ぐんぐん上達していきました。

 腰がこんにゃくのようになってしまい、どうしても立つことができない子には、おじいちゃんおばあちゃんが歩くときの支えにするような、可動式の手すりが配られました。
 わたしも、それがほしいです…。
 お姉さんに熱視線を送りましたが、わたしのもとに手すりは来ませんでした。
「向こうの手すりまでゆっくりと進んでみましょう!」
 のレッスンのときに、ようやく手すりにたどり着けたときは、あまりの愛しさに泣きそうになりました。感動の再会を果たし、「もう放したくない…!」と涙ぐみますが、お姉さんの「はーい、じゃあこっちにもどってきて~!」の声で、また手すりとはなればなれです。

 スケート教室の最後に自由時間がありました。
 レッスンから解き放たれた子どもたちは、バラバラに散ってしまい、追うのが大変です。しかし、写真を撮らなければ…。
 氷の上に慣れた子どもたちは、すぐわきをビュンビュンとすべっていきます。そのたびに「おおう!」とか「ちょっとーーー!」とか、いちいち大声をあげていたら、インストラクターのお姉さんが
「その人に近づかないでください。危険です」
 と、みんなに注意しました。

 ひざを曲げて重心を低くし、転ばないように全神経を集中させながら写真を撮っていたときです。
 こんなサバイバル状況で撮っているんだから、写真の仕上がりなんて知ったこっちゃないわよ…! 奥歯をギリギリと噛みしめながらシャッターを押していました。
 すると、
「みんな、上手だこってー!(方言)」
 明るいかけ声がした方向を見ると、主任の先生がスニーカーのままリンクに上がってきているではありませんか。しかも、手には別のカメラを持って、パシャパシャと子どもたちを撮りまくっています。

 わたし、もう撮らなくていいでしょうか…!
 というか、わたしもスニーカーがはきたいよ…。
 主任に気をとられたとき、「どーーーん♡」という声とともに、うしろから衝撃がありました。わたしは見事に転倒し、そのわきを「キャハハハハ!」と女の子がすべりさっていきました。
 このときのわたしの心境をわかっていただけますでしょうか。おどろきといたみに、理性がぶっ飛びそうになりました。女の子を追いかけたいところですが、手すりのプロたるわたしが追いかけられるはずもなく、必死に荒ぶる心をしずめました。

 こうして無事(?)スケート教室がおわりました。
 とんだ醜態をさらしましたが、これでもうスケート教室には呼ばれないだろうと安心しました(しかし、翌年も行くことになる)。
「まだまだすべりたいよー!」と文句を言いながらリンクから上がった子どもたちは、保育園へ帰るバスの中ですやすやと寝ていました。

 

 スケートの話でもうひとつ書きたいことがあります。付き合っているころの夫とスケートに行ったときのエピソードです。
 今日つづけて書くと長くなりすぎるので、またあした書かせていただこうと思います。あしたもお会いできたら、とてもうれしいです。