ぽくぽく日記

毎日のくらしをぽくぽくとさんぽするように味わいたい。

A先生迫真の演技

 今週のお題「鬼」

 こんばんは。1月は今日でおわりですね。明日から2月か~。大人になると、あたりさわりのないあいさつのひとつとして「時間がすぎるのがはやいですね」なんて言うけれど、わたしはあんまりそうは思わないような…。「ちょっとまったりするつもりが、ずいぶんまったりしてしまって、ごはんをつくる時間が…!」とあせることはけっこうありますが。
 今日は、はじめて「今週のお題」に挑戦してみたいと思います。パフパフパフ~(おもちゃのラッパの音)。

 

「鬼」で思い出すのは、保育園で働いていたときの節分です。
 働きはじめて4年めのときに、新しい主任の先生が来ました。明るさとやる気に満ちあふれた先生で、仕事ができておもしろくておしゃれで、職員からも子どもからも大人気です。
 仮にA先生としましょう。A先生が来てから、日々の保育も行事も、今までがこうだったからと惰性でつづけるのではなく、自分たちで考えてよりよくしていこうという方向になりました。各クラスのおもちゃや本を見直したり、園庭でもっといろいろな遊びができないか考えたり、子どもたちが自由につくって遊ぶことをたのしめる工作のための場所をつくったり、A先生はほんとうに次から次へと考えて動いていました。

 その年の節分は、保育園史上おそらくいちばん気合の入った節分だったのではないでしょうか。
「あたし鬼になるからさ!みんなが体育館で遊んでるとき出てくっからさ!」
 節分が近づいたある日、A先生は職員会議でテキパキと発言しました。「鬼役はどうしようか。事務のKさんにしようか」と園長先生は話していましたが、A先生がぜひやりたいと申し出たのです。

 そしてやってきた2月3日。
 わたしはわくわくとしておりました。わたしがいた1歳児のクラスは午前中にもおやつの時間があります。午前のおやつを食べたら「さ~、広いところで遊びましょうね~」と体育館へ出ました。

 ピアノに合わせて体を動かしたり、フラフープや蛇腹のトンネルで遊んだり、広い体育館を満喫していたときです。

「ドーーーン…ドーーーン…」

 不穏な太鼓の音が聞こえてきました。
 子どもたちの動きが止まります。

「ドーーーン…ドーーーン!!」

 太鼓の音はどんどん近づいてきて、ついに鬼になったA先生が登場しました。A先生、太鼓まで使うなんて、さすが本格的だわ…!
 あの姿は、大人でもちょっとこわかったです。かつらとリアルな鬼の面をかぶり、肉厚のトレーナーを着こんでから鬼の衣装を着てムキムキ感を出し、手にはこん棒を持ってがに股でのしのしと歩いてきました。
「…オーーー」
 低くつぶやいて、近寄ってきます。
 子どもたちは近くにいる職員によじ登らんとする勢いですがりついていました。普段暴れん坊で困っている子もわんわんと泣いていて、「A先生、その調子です…!」とちょっと思いました(だからといって、節分がおわってから「おにがくるよ」とおどしの道具にはしませんよ。それはだめですからね)。

 ほとんどの子どもが泣いていたのですが、なかにはケロッとして遊びつづけている子もいたんですよねぇ。空いているうちに、自分の好きな遊びをひとりじめ。ケロッとしていた子は、3人以上のきょうだいの末っ子でした。末っ子は強し…。