ぽくぽく日記

毎日のくらしをぽくぽくとさんぽするように味わいたい。

タイムリミットは16時 前編

 こんばんは。

 きのうは、運転免許の更新に行ってきました。引っ越してからの更新ははじめてで、ちゃんと指定警察署に行けるかなとどきどきしていましたが(わたしは方向音痴なのです)距離はそんなに離れていないのでお昼すぎには帰ってこられるだろうと、朝つくったお弁当をテーブルの上にちょんと置いて、ちょっと歌なんかもうたいながら出かけました。

 はじめて乗る電車は不安もありますが、楽しみもあります。いつもの電車に乗って、2つめで乗りかえる。そう心にとめながら、しばしなじみの電車にゆられました。
 乗りかえる電車のホームさえはじめて行く場所でしたので、どれに乗ったらいいかわからず、はやくもあたふたしかけましたが近くに切符を売っている窓口があり、駅員さんがいたので教えてもらいました。
 はじめて乗ったその電車の座席は、『耳をすませば』でしずくがお父さんにお弁当を届けに行くときに乗っていた電車の座席に似ていて、ちょっとくすんだ深い赤色でした。いつも乗る電車のよりも座り心地がぽふぽふしていて「いいかも、これ~」と、すこしの間くつろぎました。

 警察署の最寄り駅に着きました。最寄り駅から警察署までの道順がわかるかがいちばん不安だったのですが(事前に調べてはいますが方向音痴なもので、あまり意味がないのです)警察署までの道案内の看板が、駅の出口から立っていて、数メートルおきにていねいに出ていたので、さすがのわたしでも迷いませんでした。よかったよかった!

 警察署に入り、免許更新の受付をすませるとすこしどきどきしてきました。
 なぜかといいますと、わたしは視力検査が苦手なのです。視力が下がりはじめた小学校3年生あたりから苦手です。日ごろはとくに意識していない見えにくさをひしひしと実感させられるのがいやなのです。
 更新料を払って、暗証番号を登録したら、ついに視力検査です。
 平日でしたが更新に来ている人はけっこうたくさんいて、視力検査の部屋の前にはずらりと列ができていました。苦手なことに挑戦する前ですので、順番を待つ間、目を休めることもかねて、わたしは瞑想をしました。
「たしか両目で0,7以上だったはず…裸眼だとあやしいけど、めがね持ってきてるし、これがあれば大丈夫だろう(ぶつぶつ考えながらめがねをかけたりはずしたりして、めがねをかけたほうが多少は見えやすくなることを確認する)」
 列はじわりじわりと進んでいきます。
「上、右、右、下」
「はい、いいです」
 部屋に入った人は、いともたやすく答えています。わたしは大丈夫だろうか…。だんだんと不安がふくらんできましたが「大丈夫、大丈夫。自信をもって、わたし」と根拠なく自分をはげましました。

「次の人、どうぞ」
 わたしの番がやってきました。
「よろしくお願いします」
 平静をよそおって更新のための用紙を手渡します。
「穴の空いているところを答えてくださいね。では、はじめます」
「右」
「はい、これは?」
「み、ぎ…?」
「右じゃないですよ。じゃあ、これは?」
「上…」
「ちがいますね。これは?」
「左」
「これは?」
「し、た…」
「下じゃないですね。さっきから、合ってたり合ってなかったりするんですよね。目が疲れているのかもしれないので、30分ほど目を休めてまた受けてください」

 なんと、わたしはあっさりと不合格になってしまったのです!

「本日の16時まで受付をしていますので、それまでに合格になれば更新できます。次も不合格の場合は、手数料の返金はありませんのでご承知ください」
 どえーーー!
 視力検査の部屋の前の電光掲示板にあった「不合格の場合でも手数料の返金はありません」との文句に若干の不安を感じつつも、「大丈夫だろう…!」と自分に言い聞かせて検査を受けましたが、だめでした…!(あたりまえ)
 わたしが「大丈夫だろう」と思ってしまったのには理由がありまして、わたしがずっと住んでいたところの更新では、視力がちょっと微妙でも「うん、まぁ、オッケー」みたいな感じで合格をもらえたのです。ゆるかったのです。それで油断(?)していましたが、引っ越してきた都会は事情がちがった。視力検査がきびしかったのです(それがふつうなのでは、と思いますが)。

 不合格を言い渡された時刻は10時48分。再チャレンジのしめきりは16時。その場でしばらく目を休めても、合格ラインまで視力が上がる見込みはありません。再チャレンジのチャンスは1回です。どうする、わたし…!